飢餓感がない

 今日はモグリしている大学院の最後の授業日だった。伝統芸能を専門としている先生にお願いをして出席させてもらっていたが、来年からは別の大学に移るそうだ。授業が終わった後に一対一で話をしてくれた。本格的に大学院進学を考えているならば専門性の高い学部を選びなさいと。また企業で働く中でも学びの機会は数多く存在するから、様々な出会いを大切にするように教えてくださった。

 

 人生の次の進路に迷っている。起業を視野にビジネスの世界にのめり込むべきか、より深く学問を修めるために大学院に進むべきか。どちらの道も全力で取り組む価値のある魅力的な選択肢である。だけど、そもそも自分はそんな世界でやっていけるのだろうか?

 

 飢餓感がない。幸いにも両親に恵まれて生まれてから何不自由なく育てられてきた。勉強したければ塾に、習い事をしたければ稽古場に、遊びたければ旅行にも行かせてくれた。文章では書き表せない程の愛情ももらってきた。幸せ者である。だからこそ厳しい環境で育てられた人々と話をすると感じることがある。

 

勝てない。

 

 彼らには強い飢餓感がある。欲しくても手に入らなかったモノを何としても自分の力で手に入れようとする強い意志。脇目も振らず目的を達成しようとする行動力。そんなモノは私は持っていない。何故なら飢えたことがないから。彼らを見ていると自分は覚悟も無くフラフラしているだけの薄弱者である。

 

 自分の人生に悩んでいる。